改正民法(相続法)の最後は「共同相続における権利の承継の対抗要件」を規定する民法899条の2についてお話しします。
ちょっと難しいそうなので、簡単な設例を使って説明致します。
【設例】
相続人(配偶者(後妻))、相続人(子)の2名。法定相続分は配偶者2分の1、子は2分の1(最低限の相続分を保証する遺留分は4分の1)
亡くなった被相続人は「全財産である自宅(1億円)を配偶者に相続させる」と言う公正証書遺言を作成していました。
ところが、子は不動産に法定相続分(2分の1)を配偶者より先に登記をして持分を第三者に譲渡してしまいました。
この場合、配偶者は遺言のとおり相続できるでしょうか?
【解説】
設例のケースでは遺留分の侵害はあるものの、従来の判例では「相続させる旨の遺言」があれば登記をしなくても、第三者に対抗できるとされていました。
ところが、改正民法899条の2では法定相続分は先に登記して売却した場合は受遺者である配偶者は第三者に対抗できなくなります。
上記のケースであれば配偶者は子に対して遺留分(4分の1)の支払い義務は生じるものの、従来であれば自宅は登記をしていなくても第三者に対抗できた(つまり遺言が登記に勝った)ものが、先に登記をしたものが保護されるように改正されております。
昨今の空き家問題や相続によって所有者不明の土地が増加していることも影響してか、登記の重要性が今まで以上に増してきているということでしょうか。
遺言によって法定相続分以上を相続した時は登記の時期について注意が必要です。
写真の胡蝶蘭は高校の同級生より、9月に頂いたものですが、3ヶ月で真ん中の1本のみ咲いており、あとの2本は枯れてしまいした。
ちょっと遅くなりましたが満開時の写真を載せておきます。ありがとうございました。